Expo 2025 大阪における多国間パブリック・ディプロマシー
更新日:6 日前
国際博覧会はしばしば国家の自己表現の舞台となり、参加は主に国民国家という視点から捉えられます。各国のパビリオンは通常、分かりやすい国家の枠組みを通じて、遺産、革新、未来への志を物語ります。公式参加もまた主に主権国家を単位として組織されており、こうしたメガイベントの国家中心的な性格を強めています。
こうした背景のもと、Expo 2025 大阪において国際連合(国連)は、複雑なパブリック・ディプロマシー上の課題に直面しました。国連は、すべての加盟国を代表して信頼性をもって語り、多様な国家のアイデンティティを代表しながら一貫したメッセージを発信し、さらに国際保健や民間航空から原子力、人道支援に至るまで、幅広い分野で活動する数十の専門機関を、来場者を圧倒することなく紹介しなければなりませんでした。

このことから、Expo 2025 大阪の国連館はパブリック・ディプロマシーにとって示唆に富む事例となっています。なじみのあるシンボルやナラティブに頼ることができる各国のパビリオンとは異なり、国連は多国間主義を分かりやすく、身近で、日常の経験に結びついたものにする必要がありました。国連館は、国境、文化、世代を越えて、しばしば目に見えない形で、さまざまな方法で世界中の人々に恩恵をもたらすよう設計された仕組みを説明しようとしたのです。
国連館の戦略は、実証的なデータに基づいていました。調査によれば、日本における国連への好感度は比較的低い一方で、持続可能な開発目標(SDGs)への支持は圧倒的に肯定的でした。そこで国連館は、組織の構造から語り始めるのではなく、SDGsを入口としました。すでによく知られ、信頼されている目標が国連システムへと戻る橋渡しとなり、多国間主義を日常生活とつながるものとして提示したのです。
国連事務次長補のマーヘル・ナセル氏が国連の参加を率いるコミッショナー・ジェネラル(総代表)を務め、国際博覧会の会期を通じて常駐し、現地で指揮を執りました。その存在は単なる儀礼的なものではありませんでした。国連館のプログラム、公開イベント、会場各所での学術交流に目に見える形で積極的に参加し、数多くの国連機関の間で安定した調整役を果たし、複雑な組織の存在に人間の顔を与えました。

国連館は、意図的に構成された物語の流れに沿って来場者を導きました。国際的な規範の形成における国連の役割から始まり、現在の影響へと移り、未来志向の行動の呼びかけで締めくくられます。この構成が重要だったのは、国連に関する報道がしばしば行き詰まりや対立の場面を強調し、日々の実務的な活動が見えにくくなりがちだからです。国連館は、そうではなく、多国間協力がどのように機能し、なぜ普段の生活にとって重要なのかを示しました。未来の行動に焦点を当てた最後のセクションは、体験の中で最も人気のある部分となりました。
2025年4月13日から10月13日までの間に、国連館の来場者数は40万6,000人を超え、1日平均2,200人以上に達しました。来場者の国籍は122に及びましたが、その約90パーセントは日本人でした。これは、来場者の約95パーセントが地元または国内の住民であるという国際博覧会全般の傾向を反映しており、国連館が主に開催国の人々に向けて設計された理由を説明しています。
モニタリングと評価は、体験そのものに組み込まれていました。来場者は短いデジタル・アンケートへの回答を呼びかけられ、その代わりにガチャ(日本でよく見られる自動販売機の一種で、少額の支払いや何らかの行動と引き換えに、ランダムな景品入りのカプセルが出てくるもの)を楽しむことができました。文化的になじみがあり、遊び心のある仕組みです。15万5,000件を超えるアンケートが回収され、参加率は38パーセントに上りました。結果は、満足度、認識、そして回答者自身が述べた意欲の面で、きわめて良好な成果を示しています。ガチャのカプセルは再利用され、実践的なサステナビリティへの取り組みを反映していました。

多くの来場者が国連の活動の幅広さに驚きを示し、思っていたよりも日常生活に近い存在だと感じてほっとしたと語りました。国連館は称賛を求めるのではなく、国連の意義と役割、そして責任を分かち合うという考え方への理解を促しました。
より広い教訓は大阪にとどまりません。多国間機関は、国際博覧会への参加の主流である国民国家モデルとは根本的に異なるコミュニケーション上の課題に直面しています。単一のアイデンティティだけに頼ることはできません。多様なマンデートや組織の声をまとめて一貫したナラティブを積極的に構築し、優先事項を調整し、学び適応できるだけの厳密さで影響を評価しなければならないのです。

国連の事例は、参加国にとっても重要な教訓を示しています。アイデンティティ、優先事項、メッセージが多様で複雑であっても、それらを身近で、分かりやすく、記憶に残るひとつのナラティブにまとめることは可能です。また、モニタリングと評価が、体験から切り離された純粋に技術的なものである必要はないことも示しています。来場者体験に創造的に組み込めば、効果的であると同時に、人を惹きつけるものにもなりうるのです。
パブリック・ディプロマシーの専門家にとって、国連館は国際博覧会に何ができるのかについて、より豊かな理解を与えてくれます。国際博覧会は単なる国家の発信の場ではありません。最良の場合、複雑なメッセージを人々にとって分かりやすく意味のあるものにする方法や、モニタリングと評価を来場者体験に創造的に組み込む方法を示してくれます。その意味で、国連館の最大の成果はこう言えるかもしれません。多国間主義の複雑さを薄めることなく、それを目に見え、理解でき、人々にとって意味のあるものにしたのです。

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